センター長 ご挨拶
  地球上の人類が永久に生存を続けることができることは人類共通の望みであります。そして、身近には、安全で安心なくらしができることは私たちの願いであります。産業革命以降の科学技術の発達は急速に私たちの生活を豊かにしてくれました。しかし一方では、環境の汚染や資源・エネルギーの枯渇という不安をもたらす状況を生み出してきたことも事実であります。

  1987年、国連・環境と開発に関する世界委員会は"Our Common Future"(われらの共通の未来)と題する、いわゆる、ブルントラントレポートを発表し「大気、海洋、宇宙、南極大陸は共通の資産である」と宣言しました。また、1992年、ブラジルはリオ・デジャネイロで開催された地球サミットでは、環境と開発に関するリオ宣言として"Sustainable Development"(持続可能な開発)のための27の原則が謳われ、現世代が享受する権利は将来の世代が享受する権利とバランスしていなければならないとされました。1993年に制定されたわが国の環境基本法はこれらの精神を色濃く反映しています。そして、2000年には循環型社会形成推進基本法が制定されました。同法では、循環型社会とは、「・・・もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう」と定義されています。

  20世紀の繁栄・豊かさの根底にあった、大量生産→大量流通→大量消費→大量廃棄の一方通行型社会から、資源が循環的に利用される循環型社会へ転換していくことが、人類の生存と安全・安心なくらしを持続可能とする唯一の方法であると認識されてきたのです。

  わが国は20世紀中葉の公害問題、20世紀後期のダイオキシン問題に代表される地域環境問題をほぼ完全に克服してきました。しかしながら、われわれは現在、より厄介な地球環境問題に直面しております。とりわけ地球温暖化問題は、その主要な要因が化石燃料の使用にあるだけに、その解決の道のりには険しいものがあります。

  天然資源の有効な活用と循環利用、未利用エネルギー、再生可能エネルギーの活用が重要でありますが、汚れた(ダーティーな)資源をきれいに(クリーンに)使うためには、それなりに適切な技術が必要です。そのための技術開発、社会システムも含めたシステム開発を進めていかねばなりません。立命館大学 エコ・テクノロジー研究センターは、持続可能社会を目指したエネルギーの利用と資源循環、それに付随する環境システムの研究・開発を行い、その成果をもって広く社会に貢献することを目的としており、国内外にわたっての産学官連携によって研究を推進していこうとしております。

                   立命館大学エコ・テクノロジー研究センター長  武田 信生

メンバー

センター長

武田 信生

総合理工学研究機構

客員教授

副センター長

西脇 一宇

総合理工学研究機構

客員教授

50音順)

大上 芳文

理工学部 機械工学科

教 授

小島 一男

理工学部 応用化学科

教 授

後藤田 浩

理工学部 機械工学科

講 師

島田 幸司

経済学部

教 授

樋口 能士

理工学部 環境システム工学科

准教授

吉原 福全

理工学部 機械工学科

教 授


エコ・テクノロジー研究センターの概要
  地球温暖化の影響が、日ごろ私たちがあまり気づかないうちに生活環境の中にしのび寄っており、放置しおけないところまで来ています。地球温暖化の防止は、今や人類にとって最大の課題となっています。
  京都議定書に定められた温室効果ガス削減目標の達成に向け、世界各国でさまざまな取り組みが強力に推し進められています。省エネルギー、省資源技術の開発、導入はもとより、太陽光、風力、バイオマス燃料など、化石燃料に依存しないエネルギーの導入が盛んになってきています。
  このような取り組みが展開されている中、我が国の実情を見ると、京都議定書が我が国に課している6%の温室効果ガス削減に対し、逆に8%の増加となっており、より一層の努力が求められているとともに、化石燃料に頼らないエネルギーの開発が急務となっています。
  例えば、廃棄物をみると、エネルギーや資源としての利用面において、大きな価値が潜在しています。廃棄物関連の法令が整備されて、ReduceReuseRecycle3Rの意識は浸透しつつありますが、まだ、開拓の余地を十分に有していると考えられます。廃棄物はエネルギーや製品の原材料の源であり、その発生量は莫大です。廃棄物から如何に効率よくエネルギーを取り出すか、あるいは、廃棄物から(又は廃棄物になる前の段階で)如何に有用な製品を創り出すか、こうした分野の研究やシステムの開発が強く求められており、私たちが目指す循環型社会の要求でもあります。
  当エコ・テクノロジー研究センターは、産学協同研究を推進するために理工学部とは独立した総合理工学研究機構に設立された研究センター群(全12研究センター)のひとつで、持続的社会を目指したエネルギー利用と資源循環、それに付随する環境システムの研究・開発を行い、その成果をもって広く社会に貢献することを目的として、時代のニーズに対応した研究・開発活動を行っています。

研究交流実績
  当研究センターは、2000年度から2006年度までに、受託研究54件、学外共同研究7件の研究を行ってきました。研究の相手先は、経済産業省、資源・エネルギーあるいは廃棄物関連の社団法人や財団法人、エネルギー産業、プラント産業、自動車産業、電機産業、セメント産業、商社など多岐にわたっています。主な研究内容は、廃棄物の再資源化、サーマルリサイクル及びその過程におけるダイオキシン類等の微量有機化学物質の発生抑制、活性炭等による吸着除去等に関する研究となっています。

  

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

受託研究

7

7

14

9

11

3

3

54

学外共同研究

3

2

1

0

1

0

0

7

10

9

15

9

12

3

3

61


研究の概要
1.
 廃棄物の再資源化(マテリアルリサイクル)
  廃棄物の3Rによる循環型社会を実現するために、平成12年に循環型社会形成推進基本法が制定され、その下に個別法として、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、建設リサイクル法、食品リサイクル法、自動車リサイクル法及び資源有効利用促進法により、リサイクルを促進するためのフレームワークが提供されています。当研究センターでは、資源循環システムの構築に関する様々な研究を行っています。

2.
 廃棄物のサーマルリサイクル
  廃棄物の中にはもとの原料に戻すのはエネルギー面や経済面から困難なものがあります。多種類のものが混じり合った廃プラスチックはその最たるものです。廃プラスチックは重油やガソリンと同じくらいの発熱量を有することから、焼却により熱エネルギーを取り出すのが合理的ですが、有姿のままでは燃料としての用途は限られ、廃棄物処理としての焼却処理しかありません。当研究センターでは、密度が低いため非常にかさばり、取扱いに難点がある廃プラスチックのハンドリング性を高めるため、固形化、油化、乳化等の研究を行っており、さらにそれらを燃焼させて、熱効率の改善や燃料としての性能の向上を目指しています。

3.
 微量有機化学物質の発生抑制、活性炭による吸着除去等
  微量有機化学物質とは、ダイオキシン類や難分解性有機ハロゲン化合物等、廃棄物の焼却過程で微量に発生する化学物質を指しますが、ダイオキシン類については、平成11年に関係法令が整備され、排出規制が適用されたことにより施設改善が大幅に進展しました。その結果、当時は我が国で年間に排出されるダイオキシン類の8090%を廃棄物焼却施設からのものが占めていましたが、最近は著しく改善されてきています。
  廃棄物をサーマルリサイクルする場合、どこかの地に施設の立地が必要であり、立地には地域住民の合意が求められます。このためにはダイオキシン類をはじめ微量有機化学物質の排出を可能な限り低減することにより、地域住民の不安を解消し、安全・安心を確保する必要があります。
  ダイオキシン類等の有機化学物質は、燃焼過程において十分な燃焼ガスの温度、撹拌、滞留時間を確保すれば、発生を抑えることができ、また、発生したものは排ガス処理工程で除去することにより、排出を抑制することができます。当研究センターでは、燃焼過程における発生の低減と、排ガス処理工程での活性炭による吸着除去による排出抑制の研究を行っています。

4.
 バイオマスを利用した活性炭
  バイオマスは石油に依存せず、地球温暖化の防止や持続的社会を目指した資源循環の観点から、今や資源の宝庫です。当研究センターが行っている活性炭による物質吸着の研究において、従来の活性炭に代わってバイオマスを利用した活性炭を導入した場合、効能を維持できるか、さらに付加価値をつけられないか、など興味を起こさせるテーマが多くあります。当研究センターでは、循環型社会へ一歩でも近づくため、このようなテーマに積極的に取り組んでいます。
5.
 下水汚泥の燃料化
  下水汚泥はバイオマスの典型例です。下水汚泥を発電燃料に利用する技術は広く研究されており、一定段階に達しています。下水汚泥の燃料化を事業として成立させるにはどうすればよいか、今後の上下水道等の公営企業のあり方を見据えながらの検討が求められています。当研究センターはこのような社会的ニーズに対応した研究を行っています。

6. 次世代低公害車技術、革新的後処理システムの開発
  地球温暖化問題や大気汚染問題等の環境問題に対する関心が高まりつつあり、自動車に起因する環境問題への対応が急務である中、これまで以上に低公害車の開発・普及の必要性が高まっています。特に大型トラック・バスについては、2010年頃までには世界で最も厳しいポスト新長期規制に適合することが要求されており、緊急の課題となっています。また、2008年以降に本格的となるCO2削減技術についても確立していくことが要求されています。これらの技術開発は、国内自動車産業の国際競争力の向上につながるため、国家的な課題として位置づけられており、本センターでも,NEDO事業の一環として2004年からガス透過性固体電解質を用いたディーゼル微粒子とNOxとの同時低減について研究開発を行っています。

主な実験設備
  廃プラスチックの高度サーマルリサイクルシステム
  RDF燃焼基礎実験装置
  活性炭吸着実験装置
  比表面積・細孔分布測定装置
  電子顕微鏡・X線分析装置

アクセス
  地域図(JR最寄駅から)
  構内図

 

■問い合わせ先
  【研究内容】

  エコ・テクノロジー研究センター
  TEL:077-561-3910
  FAX:077-561-3914
  【共同研究,受託研究】

  立命館大学理工リサーチオフィス

  TEL:077-561-2632
  FAX:077-561-2633